忘れられた作家、「南方文学」の旗手、中村地平「沈黙」の戦後 映画化

2024.04.20


小松孝英監督が脚本も手がけた映画、作家中村地平(1908~1963)のドキュメンタリー映画が完成し、各地で上映会が開かれている。映画化は、同じ宮崎県出身の小松監督が、台湾で活躍した画家を描いた前作「塩月桃甫」(2021年)の製作を通して、塩月の教え子だった地平に興味を抱いたのがはじまりだ。

 

郷里・宮崎で教育・文化尽力

宮崎県出身で、かつて太宰治とともに「北の太宰、南の地平」と称された作家中村地平は、戦前の台湾を題材にした小説を多数発表し、「南方文学」の旗手として知られたが、敗戦を経て歴史の中に埋もれていった異色の作家である。

約80分の本作では、故郷宮崎を含め、南国のおおらかさを愛した中村の「南方文学」作品が、戦時中の陸軍報道班員としてのマレー、シンガポールなどでの体験を経て次第に苦悩がにじんでいった様子や、図書館の充実などを通じて戦後の復興、郷土振興に尽力した姿などを、残された資料や関係者の証言、現在の宮崎や台湾の風景をまじえた映像美によって浮き彫りにしている。


映画で脚本も手がけた小松孝英監督は、「多様性の人、中村地平の数奇な足跡や、彼の忘れ去られた小説作品を通じて日台関係について考えてほしい」と話している。

中村地平公式サイトhttps://chihei-nakamura.com

Business Insider Japan https://www.businessinsider.jp/post-288883
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20240513/dde/001/040/075000c

鰻楽グループは小松孝英監督の取り組みに深く共感し、協力しています。